以下は、私が実際にFigmaのデザインデータを使って複数の「Figma to HTML変換サービス」を検証し、その結果をまとめたレポート記事です。利用者目線、かつ業務での実践を想定しながら調べた内容ですので、「コーディングを効率化したい」「どのサービスが本番運用向きか知りたい」という方の参考になれば幸いです。2025年3月時点で入手できる最新情報のみに基づいてまとめています。Locofyは現在有料化されており、コスト面も含めた現行の実態を中心に記しています。
調査の目的と背景
私は、FigmaでデザインしたUIを自動的にHTML/CSSコード化するサービスがどれだけ業務に耐えうるかを知るため、実際のデザインファイルを使いながら各ツールをテストしました。
変換品質(レイアウトやスタイルの忠実度)と
コードの保守しやすさ(過度なネストや無駄なクラス生成がないか)を重視しつつ、
コスト(料金プラン)や操作性(GUIの有無、レスポンシブ対応の設定方法)などもチェックしています。
この調査で分かったことは、どのツールも一長一短があり、
無調整で完璧に動くわけではないという点です。一方で、ツールによっては想像以上に良質なコードを吐き出してくれたり、ほとんど編集なしでもある程度は動くなど、それぞれ特徴が明確に現れました。以下では、私が実際に使ってみたサービスの中で、特に印象に残ったツールをピックアップして解説します。
因みに今回利用したデザインは、Figmaでサンプルで置かれているデザインに AutoLayout 設定を入れてある程度レスポンシブで見れるものに修正したものを利用しました。
1. Locofy – 最高性能のコード出力だが完全有料化でハードル高め
私がテストしてみた中では、
Locofyの変換品質とコードのクリーンさが頭一つ抜けていました。デザインとほぼ一致したHTML/CSSを吐き出してくれるうえ、ReactやVueなど多彩なフレームワークにも対応しており、Auto Layoutを正しく設定しておけば
レスポンシブ挙動も概ね自然に仕上がります。実際に
コンポーネント構造も比較的わかりやすく生成してくれるので、大規模なUI開発にも向いていると感じました。
現在は有料化されており、私の環境で試したところ簡単な
1デザインにつき24ドルほどの費用がかかりました(一番コスト嵩むプランですがちょっと高すぎ)。ページ数や画面数が多い案件になると非常にコストがかさんでしまうため、小規模プロジェクトか、予算に十分な余裕があるケースでなければ導入は厳しいかもしれません。私の場合、試用目的とはいえ何度もエクスポートを繰り返すとあっという間にコストが積み上がっていく印象でした。
結論: 最も品質は高いが、
気軽には使えないのがLocofyです。

2. Anima – コストパフォーマンスとクオリティの両立
続いては
Animaです。私が検証してみた結果、レスポンシブやオートレイアウトが比較的スムーズに反映され、
割と整合性のとれたHTML/CSSになっていました。フォントや画像のサイズや位置が微妙にズレている箇所もあり、最初はだめかなと思いましたが、これは数値を少し直すだけで修正できる範囲だったため、
トータルの調整時間は短めだと感じました。
Animaはサブスクリプション制で、
比較的リーズナブルな価格帯のプランがあります。Locofyほど高額ではなく、作業は結構必要ですが
実用レベルのコードを安定して生成してくれる点を考えると、「コストと品質」を両立したいプロジェクトに向いている印象です。
特にブレークポイント指定すればレスポンシブ対応コードが出力されるので、省力化と言う意味ではとても役立ちそうです。
結論:
総合的なバランスが一番良いのはAnimaでした。コストを抑えつつ、ある程度キレイなコードを得たいなら有力候補です。

3. その他のサービス – 一長一短で選択が難しいが、ニッチな用途に強みも
私の検証では、以下のサービスも試してみました。こちらは「特定の場面には向いているけれど、万人にオススメとは言いにくい」といった印象です。
Builder.io
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良い点: 文字や画像の初期配置は正確で、
GUI編集ができる。さらにブレイクポイントを自動生成してくれるので、ざっくりしたレスポンシブ対応は便利。
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悪い点: オブジェクトを勝手に簡易化してしまうことがあり、微妙に違うサイズや形状になることがあった。調整には
結局コードを触る必要がある。
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総合所感: 全体的に完成度は悪くないが、
「完璧なHTML/CSSを吐き出してくれる」感じではない。調整作業込みで導入検討すると良いかもしれません。自動的にMoble/Desktopブレークポイントデザイン出してくれるのは嬉しい?

TeleportHQ
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良い点: 細かいオブジェクトの再現性はBuilder.ioより上手くいくケースが多かった。GUIエディターもあり、ある程度の直しは可能。
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悪い点:
レスポンシブやAuto Layoutの動きがいまひとつ。サポート体制がイマイチという印象も受けた。
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総合所感: 部分的には優秀なところがあるものの、
長期運用を考えると不安が残る。趣味・個人開発向きかもしれない。

FireJet
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良い点: 文字や画像の配置は正確。オブジェクトの位置関係はしっかり保たれている。
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悪い点: オートレイアウト部分が崩れるケースが多く、
レスポンシブ対応には手動調整必須。GUIもない。
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総合所感: 固定幅前提で1ページ完結型のLPなどを作るなら良いが、
レスポンシブサイトでは作業量が増える可能性大。

AutoHTML
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良い点:
無料でここまで変換してくれるのはありがたい。オブジェクトの配置もそこそこ正確。
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悪い点: オートレイアウトの挙動がかなりあやしく
手直し必須。レスポンシブを考えるとかなり手間。
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総合所感: 予算がない場合や、
とりあえず試作レベルでHTML化したいなら役立つ。完璧を期待するなら厳しい。

DhiWise
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良い点: GUIエディタがあり、CSSベースでカスタマイズ可能。フレームワーク連携やバックエンド連携にも対応。
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悪い点: オートレイアウトの変換がうまくいかず、画像や文字位置が微妙にズレる。レスポンシブ対応も弱い。
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総合所感: 多機能すぎるがゆえに
学習コストが高い印象。コードをがっつり書き換える前提なら使えるかもしれないが、すぐに仕上がる感じではない。

まとめ – 業務利用の高コスパならAnima、高品質ならLocofy(ただし高い)
今回、私が実際に複数のサービスを試してみて強く感じたのは、
「完璧なツールは存在しない」ということです。Locofyは確かに変換精度・コード品質ともに抜群ですが、高コストで気軽に導入しづらい。Animaは作業が量がかなり増えるがコストパフォーマンスが良く、「それなりに仕上がったHTML/CSSを、多少調整して使おう」というニーズに合致すると思いました。
その他のサービスはレスポンシブ対応や細かな挙動で何かしらの不満点があり、
小規模・短期間の案件や部分的な用途に向いていそうです。
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Locofy … 高品質・高コスト
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Anima … コスパ重視でバランス◎
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Builder.io, TeleportHQ, FireJet, AutoHTML, DhiWise … それぞれ得意分野はあるが、用途がやや限定的
結局は自分の案件規模やデザイン構造、運用予算に応じて使い分けるのが賢明でしょう。
業務で複数ページをコーディング前提省力化ならAnima、
1~2ページの超ハイクオリティを求めるならLocofy、
とりあえず無料で試作を作りたいならAutoHTMLあたりが分かりやすい選択肢だと思います。もし導入を検討している方がいれば、ぜひ実際に触ってみて、自分のワークフローや制作物に合ったツールを選んでいただければ幸いです。