こんにちは、皆さん。今日は「GLOM(グロム)理論」っていう、ちょっと名前からして神秘のモンスター感漂うAIトピックについて語りたいと思います。しかも、そこに「アナロジー推論(類推でモノを考えるAI)」が絡んでくると聞いたら、もう目が離せないですよね?
いや、私も最初に「GLOM」って単語を目にしたときは、「次にくるNFTキャラの名前かよ?」とツッコミ入れそうになりました。が、実はこれがジェフリー・ヒントン先生(ディープラーニング界の“父”のような存在)が構想した、部分と全体を階層的に理解するヤバいニューラルネットの話だと知り、脳汁ドバッと出てしまったわけです。
というわけで今回は、GLOMの原理や実装事例を見つつ、「類推で物事を考えるAI」ってどんな感じなのかを覗いていきましょう。エンジニアの皆さんなら「これ使えるんじゃね?」とワクワクすること請け合いです。
1. そもそもGLOMって何?
GLOM(Geometric LOarned Model)のアイデアは、ざっくり言うと「入力ごとに異なるツリー構造を、固定のニューラルネットでうまく表現するぞ!」というものです。え、意味がわからない? ですよね。私も最初は頭にクエスチョンマークがポップアップしました。
でもポイントはこう。
- 画像だとか音声だとか、いろいろなデータには「部分と全体」の階層関係があるじゃないですか?
- 例えば「顔」には「目」「鼻」「口」があって、それぞれ「まつ毛」「鼻孔」などさらに細部がある。
- 通常のCNNやTransformerだと、固定的な層構造で情報を通すだけなので、
入力ごとに柔軟なツリーを明示的に作るのはちょっと苦手。
そこでヒントン先生*「同じオブジェクトっぽい位置に、同じ特徴ベクトルを持たせればいいじゃない」っていう革命的な発想をしたんです。
具体的には、
「カラム」(画像なら各ピクセル位置)ごとに上下数段のレイヤーを持たせます。下位レイヤーは細かいパーツ感、上位レイヤーは全体感を表す。んで、各カラムが「あれ、隣のカラムたちとオブジェクトが同じっぽい?」と判断すると、最終的に
同じベクトルにギュッと収束する。
つまり、自然と「こいつらは同じ顔パーツグループ」とか「これらは同じ犬のしっぽグループ」みたいな “島” が内部で生まれるのです。まるでニューラルネット内でミニクラスター祭りが起きているわけですね。これがGLOMの根幹です。
2. 他のモデルとは何が違う?
CNNやTransformerとの違い
CNNやTransformerもめっちゃ流行ってますよね。特にTransformerは大規模言語モデル界で無双状態です。じゃあGLOMと何が違うんだ、という話。
簡単に言えば、
従来のCNNやTransformerは「層」や「ヘッド」に固定的な役割が割り振られていて、画像に応じてカッチリしたツリー構造を組み替えるわけじゃないんですよ。
一方GLOMは、「同じ意味を持つ位置は最終的に同じベクトルを共有する」という形で、入力ごとに柔軟な“仮想的なツリー”を作っちゃう。
Capsule Networkとの関係
Capsule Network(通称カプセルネット)をご存じの方は「ヒントン先生といえばCapsuleだったのでは?」と思うかもしれません。実はGLOMは、カプセルネットをさらに進化させたような立ち位置です。
カプセルネットでは「目カプセル」「鼻カプセル」みたいに
特定のパーツごとにニューロンのまとまりを用意しとくんですが、それだと未知のパーツとか新しいモノに遭遇したときの汎用性がイマイチ。GLOMは「どのカラムもあらゆるパーツになり得る」とし、必要に応じてベクトルが「うおー、これ同じだわ」と勝手に揃う感じ。めちゃくちゃ柔軟です。
VSA(Vector Symbolic Architecture)との共通点
VSAは高次元ベクトルでシンボリックな情報を表現する手法ですが、GLOMも
ベクトルを一致させるってとこで「分散表現でシンボルを扱う」発想は似ています。
ただしVSAはもうちょい数式チックな演算(結合・束縛)でシンボルを合成することが多い。一方GLOMは「一致させる」アプローチが中心なので、表面上のメカニズムは違いますね。でも目的は「もっと賢い構造表現」なので意外と兄弟みたいな関係です。
3. GLOMを実装してみるとどうなる?(eGLOMなど)
ヒントン先生自ら「ぶっちゃけまだ絵に描いた餅」なんて言っちゃってますが、実は簡易GLOM(eGLOM)の実験が海外でちょこちょこ報告されています。
結果、「確かに同じオブジェクトっぽい部分は似たベクトルに収束したぞ!」というポジティブな話が出ているんです。ただし課題も多い。
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反復回数を増やすと学習がドリフトする:最初は順調なのに、何度も更新すると逆に誤差が増えるとか、心が迷子になるとこがあるんですよね。
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損失関数をどう設計するか問題:パーツ再構成の誤差を見たり、上位分類の誤差と混ぜたり…とにかくチューニング必須。
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実世界の超複雑なデータにどう適用する?:丸とか四角だけならともかく、リアルな風景写真とか顔画像をうまく扱えるのかはまだ未知数。
とりあえず「実験的には意外とイケる手応え」がある一方で、「大スケールでガチ運用するにはもうひと山ある」という印象ですね。でも新しいアーキテクチャなんてたいていこういう道筋なので、今後の進展が気になるところ。
4. 海外の研究プロジェクトの事例
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eGLOMの検証実験:Google Brainやトロント大あたりがシンプルな図形データセットで検証し、パーツ同士が勝手にまとまる様子を確認。
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NumentaのThousand Brains Theory:これも脳のコラム構造をモデル化して「多数の局所モデルが投票しあって全体を認識する」的な考え方。GLOMと発想がかぶる部分がけっこうあります。
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オープンソース実装:PyTorchでMNIST(手書き数字)に挑戦した勇者もいます。精度はまあそこそこ止まりだったらしいですが、
ある程度クラスごとにベクトルが揃うのを確認できたとのこと。実装コストがやたらかかるのも難点だとか。
5. アナロジー(類推)推論AIの話
さて、もう一つのキーワード「アナロジー推論」。これは「過去に見た似た事例をヒントに新しい問題を解く」っていう、人間が日常的にやってる思考パターンのAI版です。
でも、LLM(大規模言語モデル)たちってすごいようで、実は結構パターンマッチしてるだけなんですよね。表面をなぞって、それっぽい文を作り出してしまう。
LLMの限界とニューロシンボリックAI
GPTとかBERTとかだと、過去の学習データと似た形式の問題は上手に解いてみせます。でも「まったく新しい形式で与えられたアナロジーパズル」には弱い。そういう背景から、
シンボリックな推論アルゴリズムとLLMを組み合わせたハイブリッドAIへの注目が高まっています。
「Analogical Prompting」なんてテクニックも出てきました。まず自分(モデル)で類似の簡単な例を生成してから本題を解くという、まるで人間が「昔、似たような問題をこう解いたよな」と回想する流れをプロンプトに落とし込む手法です。これだけでもちょっと推論がマシになる、といった報告があります。
6. アナロジー推論の実際の応用事例
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GPT-4へのテスト:人間のIQテストのようなアナロジーパズルを解かせる実験があって、形式を変えると急に正答率がガタ落ちという結果が出たりしてます。やっぱりまだまだ「表面的なマッチング」に偏ってるんだなあと実感。
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ケースベース推論(CBR)の医療応用:病院の診断支援で「似た症例を過去データから探す→参考にする」という仕組みは実際導入が進んでます。まさに「類推による支援」ですね。
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法律分野:英米法では判例に基づいてアナロジーするのが標準なので、AIにとっては最高のテストベッド。似た事件がどんな判決を受けたのか、引用するエピソードがバッチリ溜まってますからね。
7. まとめ&今後の展望
GLOMはまだまだ実験室段階っぽいですが、もしこれが実用化されれば
「見えないはずのパースツリーがニューラルネット内部に浮かび上がる」という、ディープラーニングの闇に光を当てるようなデカいインパクトをもたらすかもしれません。
たとえば自動運転とか医療画像診断で、「どのパーツがどういうふうに全体認識に寄与してるんだ?」を自然に可視化できたら信頼性は格段に上がりますよね。
一方で、アナロジー推論AIは「LLMが不得手とする未知の問題に対して、人間みたいに過去の事例を引っ張り出して“これっぽく解こう”とする能力」を与えてくれるかもしれません。そちらもまた、
AIの次のブレークスルーになりそうな予感。
「使えるものは全部使う」のがエンジニアの強み。なので、これらの研究を追いつつ
既存のモデルに部分的に取り入れるとか、
マルチモーダルAIと組み合わせるとか、いろんな可能性を模索する余地があると思います。
GLOMとアナロジー思考AI、それぞれまだ発展途上ではありますが、今後のAI世界を大きく変えるかもしれない要素を秘めています。
これからの技術選定やキャリア形成の際に、こういうトレンドを知っているかどうかが
隠し味になるかもしれません。